大相撲の優勝額とは?サイズや値段、撤去後の行方と賞金内訳を徹底解明
大相撲の本場所が開催される両国国技館。天井近くの壁面を見上げると、四方をぐるりと囲むように歴代の幕内最高優勝力士たちの巨大な肖像額が掲げられ、土俵を見下ろす威風堂々たる姿が観客を圧倒します。これは毎日新聞社から毎場所の覇者に贈呈される「優勝額」であり、力士にとって生涯の栄誉を象徴する最高峰のモニュメントです。
テレビ中継でもおなじみのこの優勝額ですが、「実際にはどのくらいの大きさなのか」「製作費用や値段はいくらなのか」「役目を終えて外された額はどこへ行くのか」といった細かな実態については、熱心な好角家であっても意外に知らない点が多く存在します。本稿では、優勝額の規格や歴史的変遷、歴代最多記録から撤去後の行方、さらには優勝賞金1,000万円や懸賞金の手取り事情まで、最新の現場取材と公式データをもとに詳しく紐解いていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:国技館の優勝額は畳約5枚分(縦3.17m×横2.28m)の超巨大サイズであり、毎日新聞社より毎場所の覇者へ贈呈されている。
- 要点2:館内には直近32場所分(約5年分)のみが掲額され、役目を終えた額は力士本人へ返還されて相撲部屋や出身自治体等で保管される。
- 要点3:歴代最多掲額記録は元横綱・白鵬の45枚。幕内最高優勝賞金1,000万円のリアルな税金・手取り内訳や懸賞金の分配構造も解説。
【サイズと値段】両国国技館を彩る優勝額の規格と驚きの製作費
両国国技館の2階席上部、館内の東西南北を取り囲むように掲げられている優勝額は、下から見上げるとコンパクトに見えるものの、実際には縦3.17メートル、横2.28メートルという圧倒的なスケールを誇ります。面積に換算するとおよそ畳5枚分に相当し、重量は約50キログラム近くに達する特注の巨大額縁です。
この優勝額の値段・製作費用については、贈呈元である毎日新聞社より公式な定価は公表されていません。しかし、特大サイズの木製額縁の加工、耐久性に優れた特殊パネルの出力、輸送および高所への掲額工事費用などを総合すると、1面あたり数百万円規模の実質的なコストがかかっていると試算されています。単なる写真パネルではなく、国宝級の美術品や文化財に準ずる特注設備として丹念に製作されています。
優勝額の歴史は古く、1909年(明治42年)6月場所、旧両国国技館の完成を機に当時の東京日日新聞(現・毎日新聞社)が贈呈を開始したのが始まりです。当初は写真ではなく洋画家の手による油絵の肖像画が掲げられていましたが、戦時中の一時中断を経て、昭和26年(1951年)以降は現在のような写真パネルの形式へと進化を遂げました。

【技術革新の歴史】手彩色カラー写真からデジタル化への変遷と制作秘話
優勝額を語る上で欠かせないのが、その独特の色彩表現と技術の進化です。昭和から平成中期にかけて掲げられていた優勝額は、単なるカラー写真ではありませんでした。モノクロフィルムで力士を撮影し、引き伸ばした巨大な白黒写真の上に、専門の彩色職人が筆を使って油絵具を1色ずつ手作業で塗り重ねる「手彩色(しゅさいしき)」という伝統技法が採用されていたのです。
長年にわたりこの彩色を一手に担っていたのが、彩色画家の佐藤壽美氏でした。佐藤氏は力士の肌の質感、締め込み(まわし)の絹の光沢、化粧まわしの金糸の立体感を油絵具の絶妙な配合で再現し、温かみと重厚感のある独特の風合いを生み出してきました。しかし、佐藤氏の高齢化と制作体制の後継者問題、さらには資材の調達環境の変化に伴い、2014年1月場所(白鵬優勝)を最後に手彩色額はその歴史に幕を下ろすことになりました。
2014年5月場所(鶴竜優勝)の掲額分からは、富士フイルムの先進技術を用いた高精細デジタル処理と巨大インクジェットプリントによる製作へと移行しました。最新のデジタル技術により、土俵上の力士の気迫や筋肉の陰影、きらびやかな化粧まわしの色彩が寸分違わず鮮明に再現されるようになり、現代の大相撲を象徴する鮮烈なビジュアルへと進化を遂げています。
また、優勝額の右上に記される文字にも厳格な伝統があります。通常の優勝時は黒文字で「優勝」と記されますが、本場所を15戦全勝で制した力士の額には、敬意を込めて朱文字で「全勝」と刻まれる特別ルールが存在します。館内を見渡した際、赤く輝く「全勝」の文字を探すのも大相撲観戦の醍醐味の一つとなっています。
【掲額ルールと撤去後の行方】32枚の選出基準と歴代最多記録の真相
両国国技館の壁面に掲げられる優勝額の総数は、建物の構造上「常に32枚」と定められています。大相撲の本場所は年6場所開催されるため、32枚という枠はおよそ「直近5年余り」の優勝力士の記録が展示されている計算になります。
毎年1月の初場所前と7月の名古屋場所前(年2回)に国技館内で厳かな「除幕式」が執り行われ、直近の優勝力士の新しい額が2枚ずつお披露目されます。これに伴い、最も古い時期の額が2枚ずつ壁面から取り外されていく仕組みです。
役目を終えて撤去された優勝額がどこへ行くのかについて、多くのファンが関心を寄せています。結論から言えば、取り外された優勝額は贈呈を受けた優勝力士本人へと正式に返還されます。その後、以下のような形で大切に保管・活用されています:
- 所属部屋の稽古場やエントランス:後輩力士たちの士気を高める象徴として壁面に掲示される。
- 力士の出身自治体・記念館:郷土の英雄の功績を称えるため、市役所ロビーやスポーツ施設、個人の記念館に寄贈・展示される。
- 母校(小・中・高・大学):相撲部のある出身校へ寄贈され、次世代の選手たちへの激励として飾られる。
- 後援会幹部や有力支援者への進呈:長年物心両面で支えてくれた個人や企業へ感謝の証として贈られる。
歴代の優勝額獲得数ランキングにおいて、前人未到の金字塔を打ち立てたのが元横綱・白鵬(現・宮城野親方)です。白鵬が獲得した優勝額は歴代最多の45枚にのぼり、国技館の全掲額枠(32枚)を一人で優に上回る大記録を残しました。かつては国技館の壁面のほとんどが白鵬の額で埋め尽くされた時期もあり、その圧倒的な強さを今に伝えています。

【データ比較】大相撲の優勝特典と賞金・給与体系のリアル
幕内最高優勝を果たした力士には、優勝額の贈呈に加えて多額の賞金や多種多様な副賞が授与されます。日本相撲協会が定める規定に基づき、優勝賞金および各階級の待遇は厳格に体系化されています。
| 項目・賞の種別 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・内訳 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 幕内最高優勝 賞金 | 1,000万円 | 本場所ごとに優勝力士へ授与(所得税源泉徴収対象) | プロスポーツのタイトル賞金として最高峰の格式を持つ |
| 三賞(殊勲・敢闘・技能) | 各200万円 | 関脇以下の幕内力士で顕著な活躍をした者に授与 | ダブル受賞の場合は400万円となり若手の大きな励みとなる |
| 懸賞金の配分(1本当たり) | 総額70,000円 | 手取り現金:30,000円 納税充当積立金:34,700円 協会手数料:5,300円 | 土俵上の祝儀袋には現金3万円のみが入り、残りは税金用として積立 |
| 国技館掲額 優勝額 | 縦3.17m × 横2.28m(非売品) | 毎日新聞社より寄贈。常時32面のみ掲示 | 金銭に換算できない格式と名誉が宿る力士最高の顕彰物 |
| 大相撲優勝ミニチュア額 | 約13,980円(一般販売) | 縦32cm × 横23cm(毎日新聞社公式商品) | 本物の風合いを精密再現し、ファンや後援者への贈答品として定着 |
| 自治体・スポンサー副賞 | 時価数百万円相当の現物 | 福島県産米1トン、宮崎牛1頭分、アラブ首長国連邦のガソリン1年分など | 部屋全員で分かち合う相撲界の伝統的な連帯感を支える現物支給 |
表から分かる通り、優勝力士の手元に入る実質的な対価は賞金1,000万円だけにとどまりません。千秋楽の表彰式で授与される内閣総理大臣杯や数々の自治体・友好国からの豪華副賞、さらには1場所で数百本に及ぶ懸賞金の獲得分が加わるため、1回の優勝で動く経済的価値は実質2,000万〜3,000万円以上に達します。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|ミニ額販売と力士の実利
インターネット上の相撲コミュニティやSNSでは、「優勝額は力士が自腹で買い取っているのか」「賞金1,000万円は丸ごと力士のポケットマネーになるのか」といった疑問や誤解がしばしば見受けられます。ここでは現場の実態に基づく盲点を整理します。
第一に、国技館に掲げられる本物の優勝額は毎日新聞社から力士への純粋な贈呈品であり、力士側が費用を負担することは一切ありません。一方で、一般の相撲ファンや後援者向けには、毎日新聞社の公式販売サイト(「大相撲まいにち部屋」等)や楽天市場などを通じて「大相撲優勝ミニチュア額」が販売されています。縦約32cm、横約23cmのサイズで精巧に縮小された額装品であり、価格は約1万3,980円(税込)前後で購入可能です。お気に入りの贔屓力士の優勝記念として自宅のリビングや書斎に飾るファンが増えています。
第二に、優勝賞金1,000万円の「手取り」に関する誤解です。賞金は一時所得または事業所得として厳格な課税対象となり、高額所得者である幕内力士の場合は最高税率に近い所得税・住民税が課されます。さらに、相撲界の古くからの慣習として、優勝を果たした力士は所属部屋の親方、裏方である呼出・行司・床山、そして付け人や部屋の若い衆に対して「祝儀」を配分し、祝勝会を開いて後援者をもてなします。そのため、1,000万円全額が個人の貯金になるわけではなく、相撲部屋という共同体全体に還元される仕組みになっています。
【プロの結論】相撲界の「顕彰システム」が育む組織の結束と強さの好循環
相撲界における優勝額や副賞の仕組みを社会学・組織論の視点から分析すると、単なる個人への報酬を超えた「共同体の結束力を高める高度なインセンティブ設計」が見えてきます。
優勝力士に贈られる副賞の多くが「米1トン」「牛肉1頭分」「野菜や清涼飲料水の大群」といった大量の現物である理由は、過酷な稽古を支えてくれた部屋の弟子たち全員でちゃんこ鍋を囲み、喜びと栄養を分かち合うためです。個人競技でありながら、強くなるためには優れた稽古相手と裏方の献身が不可欠である大相撲において、優勝の栄誉と果実を部屋全体へ循環させる文化は、力士たちの連帯感と向上心を強固に結びつける重要な役割を果たしています。

【相撲 優勝 額】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:両国国技館の優勝額は、一般の来場者でも近くで見ることはできますか?
A1:優勝額は2階席の最上部壁面に掲額されているため、直接手で触れたり至近距離で見たりすることはできません。ただし、本場所中や国技館の一般開放イベント時であれば、2階イス席の通路付近から肉眼や双眼鏡を使ってかなり鮮明に鑑賞することが可能です。
Q2:白鵬のように大量の優勝額を獲得した力士は、外された額をどうしているのですか?
A2:歴代最多45枚の額を持つ元横綱・白鵬の場合、所属部屋はもちろんのこと、出身地のモンゴルにあるスポーツ関連施設や親交のある学校、後援会関係者へ寄贈されています。畳5枚分の大きさがあるため一般家庭での保管は困難であり、大半が専用の展示スペースを持つ施設で大切に保存・展示されています。
Q3:優勝額の写真撮影はいつ、どこで行われているのですか?
A3:原則として優勝決定直後、あるいは本場所終了後の数日以内に、特設スタジオまたは相撲部屋にて公式撮影が行われます。化粧まわしを締め、威厳あるポーズで撮影された複数のカットの中から、力士本人と日本相撲協会、毎日新聞社の協議によって最高の一枚が選ばれます。
Q4:全勝優勝した時の「全勝」の文字は誰が書いているのですか?
A4:優勝額の題字(力士名および「優勝」「全勝」の文字)は、相撲文字の伝統を継承する専門の書家・行司によって丹念に揮毫されています。特に全勝を表す朱文字は、15日間一度も土がつかなかった無敗の横綱・大関だけが許される至高の証となっています。
まとめ:受け継がれる栄誉のシンボルと相撲文化の奥深さ
両国国技館の頭上に掲げられる大相撲の優勝額は、畳5枚分に及ぶ巨大なスケールの中に、100年を超える大相撲の歴史と職人たちの技術革新が凝縮された不滅のシンボルです。手彩色から高精細デジタルへと技術の形は変わりつつも、土俵の覇者を讃える敬意と伝統の重みは今も昔も変わりません。
直近32場所という限られた枠をめぐり、土俵上では日々激しい熱戦が繰り広げられています。次回の大相撲観戦の際には、土俵上の取り組みだけでなく、天井を見上げて32枚の優勝額に刻まれた力士たちの歴史と栄光のドラマにぜひ思いを馳せてみてください。 (出典: 相撲 優勝 額(Yahoo!ニュース))